自力で動けるようになることでマインドが前向きになり、生活の質(Quality Of Life)が向上。寝たきり予防やその脱却により自立が進み、介助する家族の負担が軽減される。──そんなプラスのサイクルを生み出す足こぎ車いす「COGY(コギー)」。介護保険でのレンタルも可能です。

1. 足こぎ車いす「COGY」の誕生背景

東北大学発の研究開発型ベンチャー企業(株式会社TESS)が開発した足こぎ車いす「COGY」。その背景には、代表取締役の鈴木堅之氏が掲げる「障害者も、健常者も、希望を見出せる社会へ」という思いがあります。

鈴木氏が教員をしていた際、受け持ったクラスに車いすの生徒がおり、その生徒が積極的に学校行事に参加できる手段を探していました。その際、足こぎ車いすの存在を知り、発明者である東北大学の半田康延名誉教授のもとを訪れました。鈴木氏は、足の不自由な人々が自らの足で車いすを動かす姿に感銘を受け、この技術を世の中に広める決意をしたのです。


では、なぜ足の不自由な人が自らの足の力で足こぎ車いすを動かせるのでしょうか? 半田教授の説によれば、通常、脳からの信号が脊髄を介して足を動かしますが、何らかの理由で両方の足を自由に動かせない人もいます。そういった場合、脳からの指令に頼らず、右足の次は左足、というように反射的な指令が脊髄の「原始的歩行中枢」から出ることによってもう片方の足が動きます。その仕組みが「ニューロモジュレーション」と呼ばれるもので、それを利用することによって「COGY」は誕生しました。(※1)。

 

※1 参照 「COGY」公式HP 

ニューロモジュレーション技術を用いた「COGY」

2. 介護保険によるレンタルが可能な「COGY」が「COGY Ⅱ」にモデルチェンジ

「COGY」は現在、従来のタイプから「COGY Ⅱ」にモデルチェンジされ、販売が開始されています。

「COGY」と「COGY Ⅱ」では以下のような違いがあります。

・カラーリング
 「COGY」はイタリアンレッド、ソリッドイエローの2色展開でしたが、「COGY Ⅱ」はフレンチブルーの1食となります。

・サイズ
 「COGY」は、SSサイズ・Mサイズ・Lサイズの3サイズ展開でしたが、「COGYⅡ」は、通常販売Mサイズのみの展開となります。
 
*Sサイズ・Lサイズについては、受注生産となります。

・耐荷重
 「COGY」はSSサイズとMサイズが100kgまで、Lサイズは136kgまでの対応でしたが、「COGY Ⅱ」 (Mサイズ)は100kgまでとなります。

・適応身長
 「COGY」はSSサイズが約100cm以上、Mサイズは145cm〜180cm、Lサイズは180cm以上でしたが、 「COGY Ⅱ」は100cm以上となります。


開発当初は80kgもあった重量が、「COGY Ⅱ」では、14.2kg(Mサイズ)となっています(「COGY」ではSSサイズ12.6kg、Mサイズ14.8kg、Lサイズ17.3kg)。

「COGY」は介護保険を適用してのレンタルや購入の対象商品です。要介護認定が要介護2〜5(条件により要介護1および要支援も含む)に該当する方は、担当のケアマネジャーに相談してみてください。


※お住まいの市町村によって、介護保険の対象にならない場合があります。また、現在受けているサービス内容によって、本商品の利用をケアプランに組み込めない場合もあります。

 

乗る人のことを考えたさまざまな工夫が施されている。

COGY Ⅱ

 

3. 「COGY」で自信と自由な時間を取り戻す

「COGY」のパンフレットには、実際に「COGY」に乗っている利用者の写真とその感想コメントが紹介されています。共通しているのは、自力で動けるようになったことで自信を取り戻し、再び自分の時間を楽しんでいること。「COGY」を利用したことでの変化としては次のような…がメリットとして挙げられています。


・自ら足でこげる喜びと感動により、前向きな気持ちに
・散歩、買い物、旅行などで行動範囲が広がり、生活の質が向上
・楽しくこぐことでリハビリ効果が生じ、筋力や体力がアップ。寝たきりの予防や脱却が期待できる
・自立が進み、家族の介助負担が軽減される

 

障害を持つ人々に対してはサポートが過剰になってしまうことが多々ありますが、それが本当に適切なものかどうかを判断するには、サポートを受ける人自身が望んでいるかどうかを確認することが必要になるものと思われます。もし、車いすの利用者が車いすを押してもらうよりも、足こぎ車いすを使って自分の力で移動することを望んでいるのであれば、「COGY」に乗るためのサポートがその人にとって最適な支援といえるのかもしれません。

「COGY」は、サポートする側とされる側の選択肢を増やしてくれるツールなのです。

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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