マイスキューの記事を読む中で「ケア活って何から始めたらいいの?」と、疑問を感じる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、はじめてのケア活におすすめの4ステップと、早めにケア活を始めるべき理由について解説します。
「うちの親はまだ元気だから、ケア活はまだ先で良さそうだけど……」
現在、このように思う方もいるかもしれませんが、介護はある日突然始まることも少なくありません。
内閣府の「令和3年度版高齢社会白書」による、介護が必要になった主な理由を表にまとめました。

上記の表で割合の多い脳卒中や骨折・転倒は、前触れなく発症して後遺症が残り、そのまま要介護に移行する場合があります。
また、厚生労働省の調査によると要介護者等を介護するケアラーの年齢は、男女ともに「60〜69歳」の割合が最も高くなっています。
一方で、「40〜59歳」のケアラーも男女ともに約25%を占めており、仕事や子育てが忙しいタイミングで介護が始まる可能性もゼロではありません。
急な介護の始まりでパニックに陥らないためにも、早めのケア活で家族の状態や介護に役立つ情報を集めておきましょう。
介護に備えて必要な情報は各家庭で異なりますが、代表的なものを以下に紹介します。
■本人の健康状態の把握
・ 持病、服薬、かかりつけ医の確認
・ 定期健診の付き添いや健康診断の結果の共有
■本人の意向の確認
・ 将来、介護が必要になったらどのようなサービスを利用したいか
・ できる限り自宅で過ごしたいか、施設に入居してもよいか
上記に加えて、ケアラーに兄弟姉妹がいる場合は、ケアが必要になった際の役割分担や連絡体制も話し合っておきましょう。
1人ひとりの介護負担を軽減し、介護負担の違いから生じるトラブルを防ぎやすくなります。

いざ介護が必要になったとき、必要なケアや介護保険制度について相談できる場所がわからず、不安やストレスをひとりで抱えてしまうケアラーも少なくありません。
介護が始まる前に制度や利用可能なサービスについてざっくりとでも把握しておくと、介護による精神的な負担を軽減できます。
■相談に対応してくれる主な場所
・ 地域包括支援センター
・ 社会福祉協議会
・ ケアプランセンター(居宅介護支援事業所)
・ 医療機関の相談室・連携室
まだ介護が始まっていない方は、これらの相談窓口で介護保険制度などに関する冊子やパンフレットをもらうだけでも役立つ情報を得られます。
要介護認定の受け方や介護保険申請の手続きについても、地域包括支援センターで教えてもらえます。最寄りの地域包括支援センターの場所がわからない方は、市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせるか、ホームページで確認してみましょう。
介護の困りごとを相談したいけど、直接相談機関に出向く時間がない方は、民間の無料介護相談窓口を利用するのもひとつの方法です。
マイスキューのサイトやアプリからも、シニアケアに関する悩みごとを経験者や専門家、パートナー企業に無料で相談できるので、ぜひご活用ください。
図書館で介護やシニアケアに関する書籍を借りて読むのも、お金をかけずにできる情報収集としておすすめです。
■お住まいの地域にある介護サービスの調べ方
スマホで「配食サービス ○○市」という風に「調べたいサービス名+お住まいの地区町村名」で検索すると、忙しい方も気軽に情報収集できます。
厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」からも、最寄りの介護事業所や生活支援等サービスなどを検索できます。
自治体の窓口や地域包括支援センターに出向く機会があれば、介護サービスについてまとめたパンフレットや冊子などをもらうのもよいでしょう。
ある調査によると、介護にかかる費用の総額は平均500万円以上になるとのデータもあります。
介護で困窮しないためにも、ケアを受ける本人が元気なうちに以下の項目を確認しておきましょう。
■自宅の安全面について
・ 段差、トイレや浴槽の手すりの有無
・ 将来バリアフリーリフォームが必要かどうかを検討
■金銭面について
・ 本人の収入、年金、貯蓄状況の把握
・ 今後のケア費用にかかるお金の目安(在宅または施設)
■重要書類について
・ 通帳、保険証書、不動産関係、遺言の有無を把握
ある日突然親が意思疎通を図れない状態になり、その後の金銭面の手続きに苦労したという事例も少なくありません。デリケートな話題ですが、「介護が必要になったときに落ち着いて対応したいから」などと事情を説明して、話しておくことをおすすめします。

介護が始まると、ケアを受ける本人の体調が急変する可能性もあります。
もしもの時の緊急連絡先や医療情報(かかりつけ医・薬・アレルギーなど)をまとめておき、本人や家族で共有しておくと安心です。
ケアを受ける本人と離れて暮らしている場合は、見守りカメラや緊急通報装置を導入すると、異変を見逃しにくくなります。見守りサービスの一例を表にまとめました。

ALSOK みまもりサポート
・スマホ1台で自宅の防犯ができる
・月額990円~と安価なプランあり
象印 みまもりホットライン
・電気ポットの利用状況を通じて本人の活動状況を把握できる
・さりげない見守りを希望するシニアにおすすめ
・「emo」という可愛いコミュニケーションロボットが、見守りと会話をしてくれる
・自宅で話し相手がほしいシニアにおすすめ
上記のサービスはマイスキューでもくわしく紹介しているので、本人と一緒に記事をご覧いただいて検討してみるのもよいでしょう。
▶︎関連記事:
・離れて暮らす高齢者の親を見守るカメラ
・Wi-Fi不要! 離れて暮らす高齢の親を見守る 象印「みまもりほっとライン」
①できるところから少しずつ始める
今回紹介した4つのステップを一気にやろうとすると、本人もケアラーも疲れてしまい、かえって話し合いが進まなくなる恐れもあります。
早めのケア活だからこそ、本人と気兼ねなく話せそうな項目や、ケアラーのみでできる情報収集などから、焦らず準備を進めていきましょう。
②「一緒に考えたい」という気持ちを伝える
ケア活の話し合いでは本人の健康や金銭面など、プライベートな領域に踏み込む必要も出てくるため、むりやり聞き出そうとするのはNGです。
・ 「私もこの先のことが不安だから、ちょっと話しておきたいな」などと、ケアラーの不安な気持ちを伝える
・ 「こういうときはどうしようか?」と、本人と一緒に考える形で話を進める
このように、ケアラーの素直な想いを伝えながら、本人の意思を尊重する姿勢も大切にすると会話しやすくなるでしょう。

親が元気なうちにケア活を始めると、急な介護の始まりにも落ち着いて対処できるだけでなく、親が望むケアをしやすくなるメリットもあります。
今回ご紹介した4ステップを参考に、家族とケア活について話してみてはいかがでしょうか。
監修:中谷ミホ
写真:PIXTA、写真AC
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)