1. 在宅で遠距離介護を10年以上も続けられたのは道具のおかげ
認知症の母が暮らしている岩手と、わたしの生活拠点である東京は直線距離で500km近く離れています。そのため東北新幹線の運賃はネット割引を使っても、1回の往復で2万円強もかかります。また、母が倒れたり、地震などの自然災害が起きたりしても、すぐに駆け付けられる距離ではありません。
母を東京へ呼び寄せたり、介護施設に預けたりすれば、駆け付ける必要はなくなるし、交通費の問題も解消されます。しかし母は住み慣れた家で生活したいと言っていますし、わたしも岩手にUターンする気はないので、通いで在宅介護を続けています。
在宅介護であっても、ホームヘルパーやデイサービスなど介護保険サービスを毎日利用しているので、常に人の目による見守りができています。しかし介護保険サービスは、24時間すべてをカバーしているわけではないので、どうしても母の様子を見守ることができない時間が生まれてしまいます。そこでわたしは、3つの道具に頼りました。
2. 認知症の母の様子を24時間確認できる見守りカメラ
わたしが見守りカメラを使い始めたのは2013年からで、介護が始まって1年経たないうちに取り付けました。導入した理由は遠く離れた認知症の母を見守るためと、緊急時に駆け付けられなかった場合に、見守りカメラで安否確認ができると思ったからです。
2013年当時は見守りカメラを介護に活用する人は多くはなく、カメラを開発したメーカーに呼ばれたときも、赤ちゃんやペットの見守りは想定していたけど、介護で使うとは思っていなかったと言われたほどでした。
最初に購入した見守りカメラは3万円近くしましたが、今は5000円前後で購入できます。画質や録画機能、暗視撮影など、あらゆる機能が向上しており、遠く離れていても近くに居るかのように見守りができます。
カメラを設置して特に良かったと思った瞬間は、自然災害が起きた時です。東北新幹線の高架橋が損傷するほどの大地震が2年連続でありましたが、その時も見守りカメラの映像ですぐに、母の安否確認ができました。
もしご近所に母の見守りをお願いしていたとして、深夜の地震や外に出られないほどの台風が来たら、様子を見に行って欲しいとは言えません。見守りカメラは、こうした気遣いが要らないメリットもあります。
日常生活においても、母はきちんと起きているか、朝食は食べているか、お薬は飲んでいるかなど、好きなタイミングで母の見守りができます。
もしも見守りカメラがなかったら、介護施設に預けていたことでしょう。今は5台の見守りカメラが24時間稼働していて、母を見守っています。
3. 認知症の母を怪しい電話勧誘から守る固定電話
見守りカメラの台数が増えていく中で、安定したインターネット環境が必要になったため、モバイル回線から光回線に変更しました。その影響で40年近く使っていた固定電話が使えなくなってしまったので、新しく固定電話を買い替えたのですが、これが母を犯罪から守ることになったのです。
新型コロナウイルスで外出を控えていた時期に、急に増えたのが電話勧誘です。健康食品や太陽光発電、不用品買取など、あらゆる業種から次々と営業の電話がかかってきました。しかし母は、これらの電話に1度も出ませんでした。
理由は固定電話の連絡帳に登録した人以外からの電話は、呼び出し音が鳴らない設定にしておいたからです。また自動応答メッセージ機能があって、電話がかかってくると「迷惑電話モード中です、この通話を録音します」という音声が流れるため、警戒した業者はすぐに電話を切ります。
犯罪抑止の効果に加えて、固定電話はわが家の一番の連絡手段になりました。母は携帯電話を持っていましたが、認知症の進行とともに携帯電話を失くしたり、充電を忘れてしまったりして、連絡がつかないことが多くなったので解約しました。
認知症が進行しても受話器を取る簡単な動作は覚えているので、昔ながらのコード付きの固定電話なら問題なく操作ができます。ですので、今でも固定電話を使って母とやりとりをしています。
4. 認知症の母の自立を支えるデジタル日めくりカレンダー
記事冒頭の画像はデジタル日めくりカレンダーで、デジタル電波時計とも言います。電波時計なので、時間は常に正確です。このデジタル日めくりカレンダーがなぜ介護に役立つかというと、母の生活リズムを整えてくれるからです。
実家の居間の壁に掛けてある紙のカレンダーには、母の1か月の予定が書いてあります。認知症の進行とともに、母は今日の予定がどれなのか分からなくなってしまいました。そこで紙のカレンダーの真下に、このデジタル日めくりカレンダーを設置したのです。
特に曜日の文字が大きく表示されたデジタル日めくりカレンダーが、母をサポートしてくれました。母の予定はだいたい曜日で決まっていて、例えば日曜日と木曜日がデイサービス、水曜日が訪問リハビリといった感じになっています。
見やすい曜日表示のおかげで、母は紙のカレンダーに書いてある予定を自分で確認し、自立した行動ができるようになりました。
ぜひこうした道具を、介護に活用してみてください。