老人ホームや介護施設にはさまざまな種類がありますが、介護度によって入居できる施設とできない施設があることをご存じでしょうか。
この記事では、介護度を基準に「どのような施設が選択肢になるのか」をわかりやすく解説します。「うちの親はどこに入れるの?」という疑問をお持ちの方は、ぜひ施設選びの参考にしてください。
要介護度とは、日常生活にどの程度のサポートが必要かを、要支援1・2、要介護1〜5の7段階で示した指標です。数字が大きくなるほど、必要な介護の量も多くなります。
ただし、要介護度はあくまで「介護の手間」の目安であり、心身の状態をすべて反映しているわけではありません。例えば、同じ「要介護2」でも、認知症の症状がある方と、足腰が弱っている方とでは、日々の困りごとは大きく異なります。数字だけでなく、ご本人の具体的な状態もあわせて考えることが施設選びで大切な前提です。
また、施設ごとに「要介護〇以上」という入居条件があるため、介護度によって選べる施設も変わります。まずは、この基本を押さえたうえで、介護度別の選択肢を見ていきましょう。
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要支援1・2は、日常生活の基本動作はおおむね自分でできるものの、家事や外出などに一部手助けが必要な段階です。
・要支援の方が入居できる施設の特徴
要支援の方は、本格的な「介護」を受ける段階ではありません。そのため、バリアフリー環境や見守り・生活支援サービスを備えた「住まい」としての性格が強い施設が中心になります。
ケアラーの中には、「一人暮らしの親が少し心配」「離れて暮らす親が気がかり」という段階で、早めに施設を検討される方もいます。お元気なうちに見学だけでもしておくと、いざというときに慌てずに済みます。
・入居できる主な施設
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、住宅型有料老人ホーム、ケアハウス(軽費老人ホーム)などが選択肢になります。認知症の診断がある場合は、要支援2からグループホームにも入居可能です。
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要介護1は、排せつや入浴に一部介助が必要な状態です。この段階で認知症の症状が出始める方も少なくありません。要介護2になると、さらに多くの介助が必要になり、一人でのトイレや入浴が難しくなってきます。
仕事と介護を両立しているケアラーや、ご自身の体力に不安がある方は、無理をせず早めに施設の情報を集めておくことをおすすめします。
・入居できる主な施設
要支援で入居できる施設に加え、介護付き有料老人ホーム、グループホーム(認知症の診断がある場合)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院が選択肢に加わります。
なお、特別養護老人ホーム(特養)は原則として要介護3以上が入所条件ですが、特別な事情がある場合は「特例入所」が認められることもあります。
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要介護3は、排せつ・入浴・着替えなどに全面的な介助が必要となる状態です。在宅介護の負担が大きくなる段階であり、ここから特別養護老人ホーム(特養)の入所条件を満たします。
・特養は費用面のメリットが大きい
特養は地方自治体や社会福祉法人などが運営する公的な施設で、民間運営の老人ホームに比べて月々の費用を抑えられるのが大きな魅力です。入居一時金も不要なため、経済的な負担を心配されているご家族にとって心強い選択肢といえます。
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・待機期間への備えも大切
費用が抑えられる分、特養は入所希望者が多く、地域によっては数か月〜数年の待機が発生します。「申し込んだから安心」ではなく、待機中の生活プランもあわせて考えておきましょう。
例えば、ショートステイを定期的に利用する、在宅サービスを充実させるといった方法のほか、待機中に老健や有料老人ホームに一時的に入居して空きを待つという選択肢もあります。いくつかの方法を想定しておくと安心です。
要介護4は、日常生活のほぼ全般に介助が必要な状態です。要介護5は、寝たきりに近い状態で、意思疎通が難しくなる場合も多く、痰の吸引や経管栄養(胃ろうなど)といった医療的ケアが必要になるケースも少なくありません。
入居できる施設の種類は要介護3と大きくは変わりませんが、この段階では「どの施設に入れるか」よりも「必要なケアを十分に受けられるか」が選択のポイントになります。介護スタッフの配置体制や夜間の人員体制など、手厚い介護が受けられる環境かどうかをしっかり確認しましょう。
・医療的ケアへの対応を必ず確認
医療的ケアが必要な場合、すべての施設で対応できるわけではありません。「看護師は24時間常駐しているか」「夜間の急変時にどのような対応をしてもらえるか」など、入居前に必ず確認しておくことが大切です。
入居する方の介護度と照らし合わせて、どの施設が検討できるか以下の目安で確認してみましょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
要支援1・2:◎/要介護1・2:◎/要介護3〜5:◯
住宅型有料老人ホーム
要支援1・2:◯/要介護1・2:◎/要介護3〜5:◯
ケアハウス(軽費老人ホーム)
要支援1・2:◯/要介護1・2:◯/要介護3〜5:△
介護付き有料老人ホーム
要支援1・2:△/要介護1・2:◯/要介護3〜5:◎
グループホーム
要支援1・2:△/要介護1・2:◯/要介護3〜5:◯
※要支援2から入居可。認知症の診断が必要です。
特別養護老人ホーム(特養)
要支援1・2:×/要介護1・2:△(特例入所のみ)/要介護3〜5:◎
※原則として要介護3以上。要介護1・2は特例入所のみ可。
介護老人保健施設(老健)
要支援1・2:×/要介護1・2:◯/要介護3〜5:◯
介護医療院
要支援1・2:×/要介護1・2:◯/要介護3〜5:◯
※上記は一般的な目安です。施設ごとに独自の条件がある場合がありますので、詳細は各施設にお問い合わせください。
ここまで介護度ごとに入居できる施設を紹介してきましたが、施設選びで大切なのは介護度だけではありません。次の3つの視点もあわせて確認しましょう。
・本人の生活スタイルや性格との相性
少人数でアットホームな環境が合う方もいれば、大規模な施設でさまざまなアクティビティを楽しみたい方もいます。ご本人の性格やこれまでの暮らし方に合った環境を選ぶことが、入居後の満足度を大きく左右します。
・費用の現実的な試算
入居一時金と月額費用の両方を確認しましょう。特養なら月額5〜15万円程度が目安ですが、有料老人ホームでは月額15〜30万円以上かかることもあります。年金額や貯蓄と照らし合わせ、無理のない範囲で検討することが大切です。
・家族が通いやすい立地
入居後も面会や手続きなどで、施設を訪れる機会は意外と多いものです。ご家族の自宅や職場から通いやすい立地かどうかも、長い目で見ると大切なポイントになります。
介護度は、施設選びを始めるうえで大切な基準となります。要支援の段階ではサ高住や住宅型有料老人ホームなどが候補となり、要介護1以上になると介護付き有料老人ホームも選択肢に加わります。特別養護老人ホームに申し込めるのは、原則として要介護3以上からです。
とはいえ、介護度だけで施設を決めるのは禁物です。介護体制や医療的ケアへの対応、費用、家族の通いやすさなども含めて総合的に検討し、ご本人にとって安心して暮らせる環境かどうかを見極めることが、後悔のない施設選びにつながります。
施設選びで迷ったときは、担当のケアマネジャーに相談してみてください。
写真:写真AC
著者:中谷 ミホ
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級