介護老人保健施設(老健)は「入所する施設」というイメージが強いかもしれません。

しかし実際には、入所だけでなく、訪問リハビリ・通所リハビリ・ショートステイといった在宅生活を支えるサービスも利用できます。

この記事では、老健がもつ2つの役割と、在宅生活を支える4つのサービスの使い分けを、ケース別にわかりやすく解説します。

1. 老健とは?まず知っておきたい基本的な役割

老健は、医療と介護の両方が必要な高齢者を支える中間施設として位置づけられています。

医師や看護師、リハビリ専門職などが関わり、退院直後や在宅生活に不安がある時期を支援します。

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老健の役割は、大きく分けて次の2つです。この違いを理解しておくことで、今の状況に合ったサービスを選びやすくなります。


老健の役割

・在宅復帰支援:退院後、すぐに自宅での生活が難しい方が、自宅に戻れる状態を目指す支援です。老健に入所して、医療的管理・ケア・リハビリを受けながら生活機能の回復を図ります。

・在宅生活支援:自宅で暮らしている方や老健を退所した方が、在宅生活を続けられるようにする支援です。ショートステイや通所リハビリ(デイケア)、訪問リハビリを活用し、在宅生活の不安や家族の負担を軽減します。

2. 老健で利用できる4つのサービス

ここからは、老健で利用できる4つのサービスを紹介します。本人の状態や家族の状況に応じて、複数を組み合わせて利用できます。

■施設入所
退院後、すぐに自宅へ戻ることに不安がある方向けのサービスです。医師・看護師による体調管理、介護職員による日常生活のケア、リハビリ専門職による訓練を受けながら、体力や生活機能の回復を目指します。利用期間の目安は3〜6ヶ月です。


■ショートステイ
介護を担うケアラーの休息や、急用で家を空けるときに利用できるサービスです。1泊2日や1週間程度の短期間でも、施設入所と同様に医療的管理やリハビリを受けられます。短期間の利用であっても、生活機能の維持につなげられるのが特徴です。

■通所リハビリ(デイケア)
自宅で生活しながらリハビリを続けたい方向けのサービスです。施設までの送迎があり、週1〜3回程度、継続的に通うのが一般的です。老健の医師による医療的管理のもと、リハビリ専門職の訓練を受けられるほか、入浴や食事のサービスも利用できます。 

歩き方や排せつ・入浴時の安全な動作など、自宅での生活を踏まえた具体的な指導を受けられるのもメリットです。


デイケアの様子

■訪問リハビリ
外出が難しい方や、自宅での動作に不安がある方向けのサービスです。 リハビリ専門職が自宅を訪問し、実際の生活環境に合わせた訓練を行います。利用頻度は週1〜2回程度が目安です。 ただし、訪問リハビリを実施している老健は全国で3割程度にとどまります。利用を検討する際は、事前にケアマネジャーへ確認しましょう。

3. ケース別|老健の活用法を解説

老健のサービスは、複数を組み合わせて利用できます。状況に応じて活用することで、在宅生活を無理なく続けやすくなります。

【組み合わせ例】
◎月・水に通所リハビリ、土・日にショートステイ
◎月・木に訪問リハビリ、火・金に通所リハビリ

※老健に入所している間は、通所リハビリや訪問リハビリなどの在宅サービスは利用できません。退所後に利用可能になります。

以下では、状況別の活用例を紹介します。

■ケース1.退院後、すぐに自宅で生活することに不安がある
「退院の許可は出たけれど、まだ体力が戻っていない。このまま自宅に帰って大丈夫だろうか」という場合は、まず老健に入所してから自宅に戻る方法があります。

例えば、骨折の治療は済んでいても、歩行が不安定なケースでは、老健で3〜4ヶ月リハビリを受け、歩行や日常動作が安定してから退所するという流れです。自宅に戻ってからも、週2回の通所リハビリや月1回のショートステイなど、継続的なサポートを受けられます。

■ケース2.自宅で暮らしているが、転倒や体力の低下が気になってきた
「日中、仕事で家を空けている間に転んでいないか心配」「最近つまずくことが増えてきた」このような不安を抱えながら、在宅介護を続けている方も多いでしょう。

それでも「まだ施設には入れたくない」「できるだけ自宅でケアしたい」と思うなら、通所リハビリが適しています。

週に2〜3回通うことで、「トイレまで歩くときにふらつく」「浴室の出入りが怖い」といった日常の困りごとを、専門職に相談しながらリハビリを受けられます。

■ケース3.ケアラーが疲れている・急用で家を空ける
「平日は仕事、週末は親をケアしていて自分の時間がもてない」といった方も多いのではないでしょうか。

介護を続けていると、家族の心身の負担は少しずつ蓄積していきます。「少し休みたい」という時に頼れるのがショートステイです。

例えば月2回、3泊4日で利用すれば、定期的に自分の時間を確保できます。預けている間も医療的管理やリハビリを受けられるため、安心して休息をとれます。

また、定期的にショートステイを利用しておくと、本人が施設の雰囲気やスタッフに慣れていきます。将来、施設入所が必要になった場合にも、スムーズに移行しやすくなるでしょう。急な出張や冠婚葬祭などで家を空けなければならない時にも活用できます。

■ケース4.通所リハビリに通いたくない・通う体力がない場合
「大勢の人がいる場所は苦手」「外出する体力がない」という方には、訪問リハビリという選択肢があります。

自宅にリハビリ専門職が訪問し、段差の上り下りや浴槽への出入り、トイレでの立ち座りなど、実際の生活空間で訓練を受けられるのが特徴です。

体力がついて30分程度座っていられるようになれば、通所リハビリへの移行も検討できます。訪問リハビリで専門職との関わりに慣れてから通所に切り替える方もいます。

4. まとめ

老健は「在宅復帰支援」と「在宅生活支援」の2つの役割をもち、入所・ショートステイ・通所リハビリ・訪問リハビリを本人の状態に応じて使い分けられます。
「うちの親にはどのサービスが合うだろう」と思ったら、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。今の状況や希望を伝えれば、具体的な利用回数や組み合わせ方を一緒に考えてもらえます。



監修:中谷ミホ


写真:PIXTA、写真AC



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この記事の提供元
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著者:鈴木康峻

2008年理学療法士免許取得。長野県の介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。
リハビリテーション業務の傍ら、介護認定調査員・介護認定審査員・自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。
医療・介護の現場で働きながら得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆をしている。

得意分野:介護保険制度・認知症やフレイルといった高齢者の疾患・リハビリテーションなど

保有資格:理学療法士・ケアマネジャー・福祉住環境コーディネーター2級

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