後悔とともに、まだまだ続く⁉ 岡崎家の「ケア活」問題、実家の片付け編の第4回。ついに片付け業者が入り、「実家が空っぽになる⁉」と思いきや……。実際にやってみないとわからないことばかりです。

1. 業者の立ち合いは夫に頼む

父親が施設へ入所、その後、一人で暮らしていた母親が亡くなり空き家になった実家。一人娘の私が、実家じまいをすることに。ただ、祖父と父親は、住居兼職場として実家の敷地内でそれぞれ異なる事業を興していたため、実家にはその道具やオフィス用品など「自分では片付けられない部門」のモノたちもたくさんありました。そこで知人に片付け業者を紹介してもらい、「自分では片付けられない部門」と、「自分で片付けようと思っていた部門」もまとめてお願いすることにしたのです。

業者が片付けに入る日程が決まり、「実家にあるモノが全て無くなる」となった途端、急にセンチメンタルな気分になり、気が付けば実家に出向いて、「これはまだ使える!」「これは捨てなくないなー」などと、思い出の品々をかき集めていました。その様子を見た夫から、「そんなことをしていたら、この家はいつまでたっても片付かないよ」と耳の痛い忠告を受け、「確かにその通り。ならば、業者の片付けが終わるまでは、実家に行かない!」という、極端な決断をしたのです。

とはいえ、業者が片付けに入るときは実家の鍵の管理や処分の判断に困ったときのために片付ける家の関係者が立ち会わなければなりません。そこで私は、ダメ元で夫に「なんでも好きなものを奢るし、捨てる捨てないの判断は全てお任せするので、私の代わりに業者の実家の片付けに立ち会ってください」と頭を下げました。すると、意外にもあっさりと「いいよ」という返答が! なぜなら、私が立ち会うと、ところどころでストップが入り、見積りの4日間では終わらず、予算が膨れ上がるし家計に影響が及びそうだと引き受けてくれてくれたのでした(夫よ、マジでありがとう~‼!)。

2. 業者は「写真」の片付けはしない!?

「中が空っぽになるまでは実家には近寄らない」と私が心に誓ったところで、業者による実家の片付けが始まりました。

初日だけ、夫とともに私も依頼主として片付けのスタッフへ挨拶に行くことに。見積りにあった通り、ベテラン風の女性と高校生だというアルバイト、そのほか男性二人のスタッフの4人で片付けをするということでした。彼らには心ばかりの労いとしてペットボトルのお茶を差し入れしつつ挨拶を終えると、数々の場を経験してきたというベテラン風の女性が家の中をザっと見渡して、「4日間あれば、すべて終わります!」と断言。こうして、プロによる実家の片付けが始まったのです。

実際にやってみないとわからないことですが、「実家を空っぽにする」と言っても私が片付けを頼んだ業者は、片付け中に見つかった「重要書類」「現金」「切手、テレフォンカードや商品などの換金できるもの」「写真」などの処分は対象外のため別にまとめられ、整理は家族にして欲しいということでした。「重要書類」「現金」「切手、テレフォンカードや商品など、換金できるもの」の扱いについては、当然の対応に思えますが、「写真」を業者が処分してくれないというのは想定外でした。なぜなら、一人で実家を片付けていたときに、納戸にあった祖父母の代からある大量のアルバムを私は見て見ぬ振りをして扉を閉めた記憶があったからです。


イラスト(下):日野あかね

日野あかねさんイラスト

そもそも写真を撮られることが苦手で、写真にあまり思い入れのない私はベテラン風の女性スタッフに「古いアルバムは処分してもいいですよ!」とお願いしました。しかし、「ご家族の思い出が詰まった写真は捨ててしまうと二度と同じものを撮ることができないので、弊社では処分を請け負わない決まりなんです」とのこと。「なるほどねー(ちょっと、ガッカリ)」な答えでした。


【専門家(アクティア株式会社 マーケティング統括部 家事代行グループ 住吉由美さん)が解説!】
※以下、グレー部分

不用品回収業者や遺品整理業者に依頼する際は、写真やアルバムの回収・供養に対応しているかを事前に確認しておくことをおすすめします。一方で、ガソリンや灯油などの危険物、医療廃棄物、腐敗した食品、消火器などは引き取り不可となることが一般的です。
私自身の実家の片付けでは、灯油の処分に苦労した経験があります。自治体やガソリンスタンドによって対応が異なるため、事前に受け入れ先を探し、慎重に運搬したことを覚えています。

「実家片付け」では、思いもよらないものが出てくることも少なくありません。依頼当日に慌てないためにも、回収可能な品目を事前に確認し、引き取りしてもらえないものについては自治体や専門業者への相談先を調べておくと安心です。

また、写真は「捨てられない」と悩む方が非常に多いものです。特に人物が写っている写真は、思い出が詰まっているため心情的に処分しづらいものです。

すべてを残そうとすると保管場所にも困るため、まずは「絶対に残したい写真」を選び、データ化して保存する方法もおすすめです。それでも処分に迷う場合は、白い紙に包み、塩をひとつまみ振って感謝の気持ちを込めて手を合わせたうえで、自治体のルールに従って可燃ごみとして処分する方法もあります。また、写真供養を受け付けているお寺や神社に供養をお願いするのもよいでしょう。

大切なのは「捨てること」ではなく、「感謝して手放すこと」です。写真がなくなっても思い出までなくなるわけではありません。ご自身やご家族が納得できる方法を選ぶことが大切だと思います。

3. とにかくお金が掛かるので「実家の片付け」を甘く見るな!

「中が空っぽになるまでは実家には近寄らない」と、業者の片付けの立ち合いを夫にお願いしたにもかかわらず、往生際が悪いのは重々承知ですが、結婚して実家を出るまでの30年以上の間暮らした実家にある思い出の品々がどうしても気になって仕方がありません。

夫からは「えー、約束違反だよ」と怒られましたが、最終日(業者の片付け4日目)の前日に少しだけ、実家へ行くことを許してもらいました。すると、家具や祖父や父親の仕事道具などがなくなり広々とした家の中に、実家にあったモノたちがガラ袋と呼ばれる茶色い大きな袋にパンパンに詰められ、ゴロゴロと転がっています。ガラ袋の一部には「売る」と書かれているものがあり、きっとその中に入っているモノはリサイクルに回るのでしょう。

センチメンタルな気分になることを覚悟して片付け途中の実家に足を踏み入れましたが、ガラ袋が山積みになっている状態に圧倒され、「本当に家の中が空っぽになるんだ」と感慨深く帰宅しました。そして、業者による4日間の実家の片付けは最終日を迎え、合計で3tトラック8往復分にもなった実家にあったモノたちがどこかに運び込まれていきました。

見積り時に業者の営業担当者から、リサイクルできそうな家電や家具、オフィス用品など、売ることができるモノがあれば、それらの金額を見積り額から差し引くと言われていましたが、全ての作業が終わった後、それについての説明を受けることに。三世代分のあれやこれやがあったので、「ひょっとして、かなり値引きしてもらえるかも?」と、淡い期待を抱いていましたが、祖父の事業で使っていた飲食業に関するモノたちは、コロナ禍で飲食店の閉店が増えてリサイクルは飽和状態にあること、そして父親の事業で使っていたオフィス用品もまた、テレワークやオフィスを縮小する傾向があり、需要が減って予想よりもリサイクルできるものが少なかったとのことでした。

現在は状況が違っているのかもしれませんが、見積り額からリサイクルできるものの買い取り額は約10万円となり、実家の片付け費用は最終的に約70万円という金額で着地したのです。ちなみに、約70万円という(私にとって)大金は、母親亡きあとに私が受け取った母親の生命保険代で賄うことができました。「もし、このお金がなかったら……。母さん、ありがとう!」と天国に向かってお礼を言いました。

この連載で実体験から振り返ってきた墓じまいや実家の片付けといった「ケア活」は、両親が元気なうちに話し合いをしていなかったこともあり、正直なところお金の心配が尽きませんでした。自戒を込めて、本当に、本当に、親が元気なうちにお金のことも含めてしっかり話し合っておくべきだと、みなさんへ声を大にしてお伝えしておきます。

4日間に渡る業者による実家の片付けが終わり、「わーい、終わった!」と言いたいところですが、まだ、実家の片付け編は続くのでした……。


新型コロナウイルスの流行は、私たちの暮らしだけでなく「片付け」の現場にも変化をもたらしました。カジタクのご依頼者さまは主に個人のお客さまですが、在宅勤務の普及によって、ご相談内容も以前とは変化しています。

特に増えたのは、「在宅ワークスペースを作りたい」「子どものオンライン授業や勉強スペースを確保したい」「家族全員が家にいる時間が増えたことで、収納を見直したい」といったご相談です。

これまで物置状態になっていた部屋や使っていなかったスペースを整理し、仕事や生活の場として活用できるようにしたいというニーズが高まりました。また、在宅時間が増えたことで、家の中の物の多さや使いづらさに気づき、「今の暮らしに合った住まいに整えたい」と考える方も増えています。また、家具や家電、オフィス用品などは需要や流通状況によって買取価格が大きく変動するため、買い取り金額はあくまでもプラスアルファと考えておくと、費用面でのギャップに悩まずに済みます。

片付けは単にモノを減らす作業ではありません。家族で思い出を振り返ったり、これからの暮らし方を話し合ったりする大切な機会でもあります。
「もっと早く親と話しておけばよかった」「元気なうちに一緒に整理しておけばよかった」という声を耳にすることも少なくありません。

実家片付けや生前整理は、「親が亡くなってからするもの」ではなく、親も子も元気なうちから少しずつ始めることで、心とお金の負担も減らすことができるように思います。

片付けは、家族のこれからを考えるための第一歩なのだと思います。


写真:写真AC

監修、アドバイス:住吉由美


【監修者プロフィール】
住吉由美(すみよし・ゆみ)…保有資格:生前整理アドバイザー認定指導員/整理収納アドバイザー1級。
アクティア株式会社が提供する家事代行サービス「カジタク」に所属。整理収納アドバイザーとしてお客さま宅の片付けサービスを担当するほか、生前整理アドバイザー認定指導員として認定講座を開催。さらに、イオンスタイル品川シーサイド「MySCUE」コーナーにて、生前整理に関するセミナーを月1回のペースで実施している。


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この記事の提供元
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著者:岡崎 杏里

大学卒業後、編集プロダクション、出版社に勤務。23歳のときに若年性認知症になった父親の介護と、その3年後に卵巣がんになった母親の看病をひとり娘として背負うことに。宣伝会議主催の「編集・ライター講座」の卒業制作(父親の介護に関わる人々へのインタビューなど)が優秀賞を受賞。『笑う介護。』の出版を機に、2007年より介護ライター&介護エッセイストとして、介護に関する記事やエッセイの執筆などを行っている。著書に『みんなの認知症』(ともに、成美堂出版)、『わんこも介護』(朝日新聞出版)などがある。2013年に長男を出産し、ダブルケアラー(介護と育児など複数のケアをする人)となった。訪問介護員2級養成研修課程修了(ホームヘルパー2級)
https://anriokazaki.net/

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